青春のアフター 読了感想 その2(ネタバレあり)

この漫画を読んでどこかスッキリしない部分があったので、また最初から読み直しました。

どうやら自分はこの作品に魅せられてしまったようだ。

 

最初読んだとき、この物語の主要登場人物は4人だと思っていた

 主人公である鳥羽まこと

 主人公の初恋の相手、十和さくら(ヒロイン1)

 主人公の彼女、上牧みい子(ヒロイン2)

 主人公の友人(?):倉橋辰巳

でも2回めを読み直すことでその認識が誤っていた事に気づく、それは途中で出てきた梅子という女性

初めて読んだ時の印象は、ガチで"さくらのそっくりさん"という認識だったし、4巻で急にさくらと入れ替わっていたりした事もよくわかっていなかった。

 

読了後、作者がツイッターで公表している時系列表を見ると(単行本だとカバー裏に記載されているらしい)、梅子は未来から来たさくらとなっていた。

梅子(未来から来たさくら)という視点で何回か読み返して、全てではないけどやっと少し繋がった気がする。

 

ここでは、梅子のについて考察をしてみたい

 

まずは、エピローグ後のさくらの時系列と年齢について、

作者が公表している時系列表を元に再確認

 

<時系列>

 2023年 冬 さくら17歳

 まことに失恋したさくらは、梅子として鳥羽の大学時代へ飛ぶ

(作中でのさくらは16歳になっているがバリ島で10ヶ月ほど生活している描写があるので、最終話のさくらは17歳になっているはず)

(その前に、失踪した時代に戻り洋服を回収(エピローグの部分))

 

 2003年 夏 梅子17歳

 ・鳥羽と梅子(2023年から来たさくら)が出会う

 ・時系列表では、鳥羽の大学時代に飛んですぐに付き合い始めているように思える。

 (作中の梅子は20歳って言ってたけどあれは嘘か?)

 

2004年 春 梅子17歳

 ・16歳のさくらが鳥羽と梅子とのやり取りを見る

 (この時点だと、さくらと梅子は1歳違いでしかなかったんか・・・?)

 (梅子としてスタートして1年も立ってないようだけど随分と性格が変わったような・・・)

 (因みにこの時被ってる梅子の帽子って、記憶喪失になったまことが被ってた帽子なんだよな・・・)

 

 2007年 夏 梅子20歳

 ・おばあちゃん死去、鳥羽と梅子がわかれる

  →恐らく、このタイミングで心境の変化があったのだろうか梅子は2016年にタイムスリップしたのだろう

  →何が原因でこの時代のまことと別れたのかは分からないが、

   梅子が本当に愛したのは"16年間さくらの事を引きずっていた"32歳のまこと

   彼との決着を付けないと梅子の青春は終わらなかったのだろう・・・

 

 2016年 夏 梅子20歳

 ・バリ島の修学旅行中、さくらがタイムスリップしている間に梅子が入れ替わる。

 

こう見ると、さくらちゃんがまことへ向けている愛が凄いなって・・・

 

ここからが本題、梅子の行動とセリフを考察していこう

◆2巻

2巻 1

この場面、最初はさくらのそっくりさんが、さくらを思い続けて自分にむいてくれない事に対してのセリフだと思っていたが・・・違かった・・・

ここの「私のものになってくれないなら」というセリフは、

未来でさくらが選ばれないことによる、梅子からの本気の呪詛・・・

 

◆3巻

3巻 1

この場面、ここで梅子が"昔"と指しているのは、みい子の実家に行った時の夜に川辺でお話した時のこと。

読者は神目線で梅子ってわかるけどさぁ、まこともさぁ"昔?"の所で引っかかるならさぁ、ちょっとはさぁ

なんで梅子関連の事になると察し悪くなってしまうん?

あとタバコ吸ってるやんね・・・気づかないものかね・・・

 

◆そして4巻での梅子とみい子のやり取り

4巻 1

”ずっとここが気になっていた”

最初はゲームの事か?と思ったけどこの場面では違和感があるセリフ

なので解釈としては、この時のさくらはタイムスリップしてたり、何なら山の中で一夜過ごしていたり(!)で殆どまことと一緒にいられなかったから、まことと梅子がキスして湖に飛び込んだのを目撃した後に何があったのか気になっていたという事を指しているはず

"バラバラに追ってても、ちゃんと最後には繋がる"

前半は、タイムトラベルを使って、さくらが見た梅子の行動を追体験した事を指し、

後半は恐らく、さくらが見たことと多少の差異があれど結果は収束し、ちゃんとここに居られる事を指していると推測

 

"わかってるんだ、まことはみい子のことちゃんと大事にしてる"

"私がまことに依存してちゃだめ"

あの結末があるという事をわかっているから、梅子はまことに依存(愛)したままではいけないと言っているのだろう、

でも、それでも、まことから離れることを諦めたくなくて、一縷の望みをかけてデートを貰いに来たんだろうね・・・

 

<そしてデートシーン>

まことはみい子を選ぶ事はわかっているのに、諦めきれずに愛人でもいいと言ってまでも縋る梅子

この時点の梅子は、まことに断られてフラれる事を知らない中での提案なのが泣けてくる

 

「選んだあとで迷う」の部分は、みい子と歩んでいくという選択をしているのに、さくらの事も一番好きで、さくらには離れて欲しくないというまことの矛盾した思いの事を指し

「縋り続けた私を助けてよ」の部分は、梅子もまことと一緒になれる可能性がある事にずっと執着していた事を終わらせるために、

まことから別れの言葉を聞くことででまことに依存してしまった梅子の、この恋の青春を終わらせようとしているんだろうか・・・

そして見返したときに気づいたさくらに出会うこの場面、なんとまことの後ろポケットにゲーム機がささっている、このゲーム機は梅子が最後に触っていたものだし位置的に梅子がポケットに入れたんだろう・・・

まこととさくらが16年後に飛んだ時、さくらが遊んでいたものだけど、

何故、まことが記憶喪失から回復するためのキーアイテムを持たせたんだろうか?

 

そしてエピローグから続いていた梅子の旅路は、24話の最初の場面で、終わる。

梅子視点では皆が青春の後始末を終えている中で、ここで・・・ようやく彼女の長い旅路、青春の後始末(アフター)が終わった。

よく見ると手で顔を覆っているのが悲しい

 

◆エピローグでさくらが高校時代の鳥羽まことが居る所に飛んで、やり直さなかった事についての考察

・さくらが本当に好きになったのは、"16年間さくらの事を思い続けた経験"を持つ32歳のまこと

・さくらは未来で起きたことを知っているが、まことは当然知らない

・さくらがあの時代に帰ってきてしまうと"16年間さくらの事を思い続けた経験を持つ"32歳のまことではなくなってしまう
・さくらが本当に愛したのは、あの経験を持つ32歳のまことなので、エピローグでこの時のまことに声をかけて、やり直すということをしなかったんだろう・・・

(いかん泣けてくる

・バリ島から日本に帰ってきたさくらは、あの段階ではまことから別れの言葉を聞いていないし("選ばれなかった"ので、実質フラれていた様なものだけど)

・二人の最後のやりとりは「弁当2つ食べるなよー」「バーカッ」だもんなぁ、最後の言葉がこれだったので、諦められなかったんだろうなぁ

・さくらという名を捨て、梅子という偽物としてまことの前に現れてまでも、諦めきれずにいたさくらちゃんの事を思うとめっちゃ泣ける

 

<感想>

色々ごちゃごちゃ書いたけどまとまらんね、後で修正しよう。

 

さくら = 梅子視点で見直してみると、青春のアフターという漫画はさくらちゃんが主人公だったのかなと、

(単にまことに感情移入できなかっただけかもしれないが)

タイムリープものの常として、タイムトラベルする人はより良い結果を得られるように奔走しハッピーエンドを掴むけど、この漫画はタイムトラベルしてまでもハッピーエンドを掴めなかった彼女の物語だと思う

 

しかし、エピローグ後にすぐ大学時代の鳥羽に会いに飛んだはずだけど

その時点で梅子は妙に擦れてしまっていたというか、ふっきれていた感があったんだけど、あの間に何があったんですかね・・・

梅子の考えや心理描写はあまり描かれていないのでどうやってもそこは読者の想像になってしまう

作中で描かれていない隠し設定もいくつかあるみたいだし、何処かにその設定を出しているところとかないですかね・・・

 

そして読み返して自分が消化できていない部分は、

最後までさくら = 梅子に気づいていないまことの事と、

あそこでまことが梅子と別れる事の重大性を、梅子はもう誰の手にも届かない場所に行ってしまうという事をわかった上での、あのセリフを言ったわけではないということ。

自分らが持っている手札を全部見せた上で決めたものじゃないと思うのがなんか腑に落ちないんだよなぁ

あとこのさくらちゃんだけが一人ぼっちになってしまう感じが納得できないし、

さくらちゃんに感情移入している身としては吐きそうになるほど苦しくなる原因なんだろうな。

あとなンか、17歳のさくらの初めてを奪ったことについては、記憶喪失中だからノーカンみたいな感じになってるけど、、、32歳の大人が、その後何もフォローしないの・・・大人としてええんか?自分がみい子が傷つくからって・・・ええんかそれ?

 

 

 

凄く長くなったけど、書き出したらスッキリしたし、気持ちを落ち着かせるために思っていることを書くのはやっぱり良いね、うん。こんな長文書いたの初めてや、なんやろなこれは

 

ずっとさくらに感情移入していたので本作は面白かったんだけど、それと同時にみんなが色々失ったし、とくにさくらちゃんは救いがなくて凄く辛かった。

緑のルーペさんを調べてみたところ、どうやらそういった救いのない作品を描く様な作家さんらしい。

好奇心で容易に手を出すべき作品ではなかったと後悔しています、ツイッターのプロモーションめ・・・

(願わくば記憶を消して二度と読みたくない・・・)

 

いや、本当に面白いし久しぶりに、続きを読みたいと思って一気読みした作品だったし

残っている謎を理解するため何度も読み直したんだけれども、心に負うダメージが大きすぎて、最初読み終わって2日間は飯を食うのが辛かったですよ、ええ。

もう二度とこの作者さんの作品は買うことはないだろうね・・・

 

 

自分がタイムリープもので好きな作品といえば、夏への扉シュタインズ・ゲートくらいしか挙げられないけど、間違いなくこの2つに並ぶ漫画でした。

色々突っ込まれる設定箇所もあると思うけども、そんな事が気にならないぐらい面白かったです。

 

けど、やっぱり、あの後に天涯孤独となったさくらちゃんが幸せにやっていけるのかだけが心に残りました・・・元気にやってるんだぜって姿だけでも見たかった

女性は男性に比べて失恋を引きづらないとも言うし

恐らく大学時代のまことと付き合っていた様子を見るに大丈夫なんだろうなとは思うけどやっぱり・・・彼女の秘密というか本当の名前を知っている人が周りにいないのは辛いと思うんよ

 

 

 

青春のアフターという漫画の物語はこれでお終い。

けど、彼らの人生の物語はまだ続く、あの後の梅子(さくらちゃん)の人生にハッピーエンドがありますように。

 

「これは、彼女で始まり彼女で終わる、青春の後始末(アフター)」